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オーディオへの散財では、嫁さんにぶん殴られ、往復ビンタをかまされそうな気もするので、ビクビクしながら記す。
6月はボーナスシーズンである。金融機関が資産運用のキャンペーンを一斉に打ち出す。世に金が溢れ出すのと花嫁が結婚式をしたがることにどんな因果があるのかよく分からないが、いずれにしても消費をしたくなる”月”である(余談であるが、ちなみに保険会社は11月を保険月とするらしい)。バリバリと、いや謙虚にオーディオアクセサリーをぼちぼち買い込んでいる。
なかでも、嫁さんから「なぜ墓石を買うのか。自分用としてか。外のドライエリアに建立でもするのか」との責めを頂戴した、石匠運慶の天然御影石はなかなかに音が“ぐぐっ”と締まってよろしい。厚みが5cmで、一枚20kgもある。玄関から地下のオーディオ部屋へと運ぶのに、腰が抜けそうになる重量だ、“こいつは期待できる”。御影石が良いとアドバイスしてくれたのは、前述のオーディオユニオン4階のS君である。自分でも使っているという科白は、販売店員の“伝家の宝刀”だ。これを出されては、退転はできない。素直に従った。
我がオーディオルームはコンクリート打ちっ放しで、基礎たる床は当然コンクリートなのではあるが、その上に木材としては柔らかい部類に入るパイン材のフローリングが施してある。ちょっと重たいものを置いたり、乱暴に掃除機をかけたりすると、傷が付いてしまう。デリケートなのだ。であるからして、対策を講じる必要が多分にある訳で、オーディオアクセサリー誌でお褒めに預かっていたABAという新興メーカーの薄型ボードに、その推奨するKRYNAのマグネシウムインシュレーターをもってしてスピーカーを置いていたのだが、どうも低音の出が悪い。47研の小柄で小粋なスピーカー、Lensはフルレンジだから、ロウ(LOW)を厚く出来させるのは難しいのかもしれないが、“こんなもんじゃないだろうな、このスピーカーの実力は”と思っていた次第だ。
足場をがっちりと固めるということは、床が鳴かなくなる。さすれば、音が締まる。ただ気をつけねばならないのは、床が震えない以上、床をも鳴らして豪快に低音を出すということには、決別せねばならない。少しだけ迷ったが、やはり挑戦は必要だ。御影石で、バシッとした音にしようではないか。
苦労して自作したオヤイデの電源ケーブルともあいまって、音がちょっとノーブルになった気がする(プチ・ノーブルな気分!)。やはり散財しないと音の進化を遂げるのは難しいことかな。
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