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艶っぽく、コンクリート打ち放しの大空間で響いているような音色を持つ。ベリリウムという特殊であろう金属の仕業なのか。トゥイーターの振動板素材として採用しているのだという。日本のオーディオメインストリームにあるメーカーが奏でる、透明で明晰かつ現実的だが、何か音に味付けを加えることが“悪”であるような潔癖さに比べれば、このフランスのスピーカーはややもすると、やらしくてセクシーな音を出す。水も滴るというか、“濡れた”感じを受ける。さすが大人の国フランスからやって来ただけのことはある。先日の仏大統領選挙で勝利したサルコジ氏だが、奥さんは半年前にどこだかの国の実業家と駆け落ちして半年間、家を留守にしたそうだ。苦悩する様子の彼は「フランスのどの家庭でも起こりうることが自分に起きた」とコメントし、国民は大統領の卵に親近感を持ったという。かつての政敵は、「家の中で妻をつなぎとめておくような魅力もない者に、市民を魅了することができるのか」と手厳しい。政治の中にセクシャルなことを含んだって、パリッ子(パリだけでないだろうけど、パリという言葉は何だか洒脱で自由を謳歌する印象を持つ都市の名だ)には「エ・アロール」とばかりにそれがどうしたといきり立つこともない。そんな国柄からすれば、肉感触のちょっとエロティックな音色がふさわしいのかもしれない。
Micro Utopia Beのセクシーサウンドを人によっては、余計な装飾をしていると指摘する人もいるかもしれない。しかし、音楽を聴くことは非日常の、日常のあれこれ由無し事を忘れて没頭するためだと考えるなら、このスピーカーはとてもマッチする。
数万円のミニコンポで音楽を楽しみたいというなら、別に“ケ”を求めている訳でもあるまい。そこに“ハレ”を希求するからこそ大枚をはたくのではないか。
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ウィルソンオーディオのシステム8は、ペアで約400万円という庶民感情を逆撫でする価格のスピーカーである。例えば、車を例にとってみよう。ホンダシビックが250万に対して-それにしても、何故ゆえシビック(※5月29日付けブログ)を高級車にしようというのだろう。シビックはコンパクトでこなれた金額で、それでいて都会的な洗練とか若々しい軽快さがあったゆえにシビックだったのだ。250万もするのなら、もはやそれはもうシビックではなく、ほかの違う車種ではないのか。シビックをレジェンドに近づけても、それはレジェンドみたいな車というだけで、シビックではないのに、などとホンダびいきの僕はつい思ってしまうのだが-、フェラーリをだいたい2,500万とすれば、その差は10倍だ。車の世界では、一般向け製品と一部の金満家やレーシーな志向を持ったプロフェッショナルに向けたプロダクトは10倍しか価格差がない。翻ってことオーディオでは、ミニコンポを仮に10万円としたら、スピーカー単独400万との単純比較でまずは40倍だ。しかもスピーカーだけな訳だから、それに相応しいコンポーネントとなれば100倍ということも当然見えてくる。何がいいたいかと言えば、とにかく高くてたまらないということだ。
しかし、当然ながらシステム8の実力というのはずば抜けている。昨年の10月、インターナショナルオーディオショーで「紅の豚」ならぬ「紅のシステム8」を聴いた時には、ある種、宗教の次元にまで達してしまったような感すら受けた。宮崎駿の息子が監督を務めた「ゲド戦記」のテーマ曲“テルーの唄”がかかると、対のスピーカーの上に、すうっと幽体離脱した手嶌葵がまるでステージの上から椅子に腰掛ける我々に歌いかけるという印象だった。そのポジションはある意味で宗教的でさえあった。デザインも良い。アメリカのオーディオ製品というと、マッキントッシュ、JBLほかジャズやロックのガッツを打ち出すことを重視した、いわば押しの強さというイメージがあって敬遠していた。車ならばアメ車は馬鹿でかくて阿呆みたいに燃費が悪くて(さんざんな言われようだけれど)、ヨーロッパ車は合理的でキャラクターの立った小型車が得意と大まかに種別されるが、ウィルソンオーディオは僕のアメリカオーディオ嫌いを覆した。
ウィルソンのカタログを見ていたら本社はユタ州とあって、もしやモルモン教徒では、という読みはあたっていた。と考えると納得がいく気もする。低域を重厚に出す、高域を何が何でも伸ばすという印象がないからだ。上下に欲深く頑張り過ぎていないから、迫って来る音ではない。肉食欧米人種というよりは、スーパーサウルスほど巨大化はしていないけど、それなりの図体の草ばかり食べて大きくなった草食恐竜みたいな存在だ。
今日はNHK教育での菊池成孔氏による講義の3回目『帝王の危機/王子
の変身』が放送される。
それに備えて予習をするべく、岩浪洋三著『マイルス・デイビスの世界』/
荒地出版社/1977年 を神保町の古書センタービル4階の新世界レコードで
買い求めた。
刊行当時、マイルスは当然存命だった訳で、ここのところ新書でジャズに関連したのがよく出ていますが、そういった本とは文章の温度感が違うなあ、というのが斜め読みした印象。まあ、現在進行形のアーティストと過去の没した演奏家を批評するのは、そりゃ同じスタンスにはならないですよね。いずれにしたって、「おい、この間出たマイルスの新しいアルバム聞いたかよ」なんて会話が成り立ってたなんてちょっと信じられない。
痛快だったのは、マイルスがローリングストーンズ誌に「エリック・クラプトンなんて何もわかっちゃいないね(注:自分がやっていることについて)・・・やつがどんなプレイをするのか、どんな臭いがするのか、どんな風体なのか、どんな風に歩くのか、どんな風に話すのか、何も知らないよ」と語ってみたり、ある女優が 「あらマイルスさん、すてきなお車ね」 と彼のフェラーリを褒めて語りかけたら、 「おい、車が汚れるから触らないでくれ」 なんて答えたというくだり。、真偽のほどは分からないけれど、実にエッヂの利いた”イケテル”感じである。
菊池氏の講義では一貫してマイルスがお坊ちゃまであったということが、テーマとして通底している。
帝王としてのマイルス=鋭利な強面の表層的イメージと、セレブリティーとしてのマイルス=内面は実はボンボン、王子様という性向の両面をより良く知るため
にも、菊池さんの講義や岩浪さんの著述は興味深いものがあります。
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