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最近は文庫のページ数がやたらと減って、薄っぺらい背表紙の本が増えた。この『ソニー最後の異端』(講談社文庫/立石泰則)は通勤の電車40分で読み終わるかと思ったが、さすがに読了までは至らなかった。しかし二日あれば充分なのだが、内容が薄弱なことはない。近藤哲二郎というソニーの技術者の異端が、どのようにしてWEGA(ベガ)、そしてBRAVIA(ブラビア)の開発に貢献し、『DRC(デジタル・リアリティ・クリエーション)』というソニー独自の高画質技術を進化させていったか、そのルポルタージュである。
近藤はその性格から社内ではなかなか理解が得られず、400件もの特許をとりながら一つとして商品化されることがないという異端であった。当時、大賀典雄から異例の14人抜きで社長のバトンを受けた出井伸之は、近藤を呼んだ。そしてDRCのプレゼンテーションを受けた出井は近藤の起用を決意し、96年にはアルゴリズム研究所の所長に就任させた。
DRCはバージョンアップを重ねてゆくのだが、本書による技術詳細をかいつまめば、それは放送局から送られてくる映像を、高精細なものに置き換えるデジタル信号処理技術のことで、例えば標準放送をハイビジョン放送対応のテレビで見る時に、受像機としてのテレビは解像度を高めるために映像を補完する。いかに補うかといえば、線形補完形式と呼ばれる方法などがあるという。
これはどこかで訊いたことのある話だ。そう、WADIAのCDプレーヤーによるデジタル演算アルゴリズムだ。オーディオもビジュアルも同じようにエポックメイキングな技術、そしてそれを開発する<異端>によって切り拓かれてゆく。
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この本を読んだ日にNHK『プロフェショナル 仕事の流儀』で、細野秀雄という材料工学の科学者を番組で取り上げていた。競争の激しい超伝導の分野で、世界から熱い注目を浴びる学者だという。細野は東工大の先生で、研究室のリーダー、舵取り役でもあって、「研究の現場に、立場や年齢による上下関係はない」ということを自負していた。穏やかそうな性格に見受けられたが、後進の指導シーンでは容赦はなかった。
近藤と細野。私には多分にだぶって見えてしまった。
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