×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
最近は文庫のページ数がやたらと減って、薄っぺらい背表紙の本が増えた。この『ソニー最後の異端』(講談社文庫/立石泰則)は通勤の電車40分で読み終わるかと思ったが、さすがに読了までは至らなかった。しかし二日あれば充分なのだが、内容が薄弱なことはない。近藤哲二郎というソニーの技術者の異端が、どのようにしてWEGA(ベガ)、そしてBRAVIA(ブラビア)の開発に貢献し、『DRC(デジタル・リアリティ・クリエーション)』というソニー独自の高画質技術を進化させていったか、そのルポルタージュである。
近藤はその性格から社内ではなかなか理解が得られず、400件もの特許をとりながら一つとして商品化されることがないという異端であった。当時、大賀典雄から異例の14人抜きで社長のバトンを受けた出井伸之は、近藤を呼んだ。そしてDRCのプレゼンテーションを受けた出井は近藤の起用を決意し、96年にはアルゴリズム研究所の所長に就任させた。
DRCはバージョンアップを重ねてゆくのだが、本書による技術詳細をかいつまめば、それは放送局から送られてくる映像を、高精細なものに置き換えるデジタル信号処理技術のことで、例えば標準放送をハイビジョン放送対応のテレビで見る時に、受像機としてのテレビは解像度を高めるために映像を補完する。いかに補うかといえば、線形補完形式と呼ばれる方法などがあるという。
これはどこかで訊いたことのある話だ。そう、WADIAのCDプレーヤーによるデジタル演算アルゴリズムだ。オーディオもビジュアルも同じようにエポックメイキングな技術、そしてそれを開発する<異端>によって切り拓かれてゆく。
●
この本を読んだ日にNHK『プロフェショナル 仕事の流儀』で、細野秀雄という材料工学の科学者を番組で取り上げていた。競争の激しい超伝導の分野で、世界から熱い注目を浴びる学者だという。細野は東工大の先生で、研究室のリーダー、舵取り役でもあって、「研究の現場に、立場や年齢による上下関係はない」ということを自負していた。穏やかそうな性格に見受けられたが、後進の指導シーンでは容赦はなかった。
近藤と細野。私には多分にだぶって見えてしまった。
PR
新潮社から刊行されている季刊誌『考える人』の5月号。シーズン毎に発行しているのは、別にオーディオ誌だけではなかった。直近号のメイン特集『ピアノの時間』がよい。何がいいって、やっぱり吉田秀和と堀江敏幸の対談に尽きる。この組み合わせはNHK教育テレビの番組で行われてから何度か目にしている。それでも吉田秀和の話には蘊蓄があって飽きが来ない。音楽について「書くこと」(=吉田)、書かれたものを「読むこと」(=堀江)の愉しさに溢れている。音楽を作曲、演奏することに比べて、評論することが二次的、三次的だなんてちっとも思わないとか、グールドやら何やら、この人の手にかかると「今度そのアーティストのディスクを聴いてみよう」という気にさせる。ある意味で村上春樹と同じ、音楽を聴く気にさせる文章芸、話芸をお持ちだ。
その他、この雑誌を読んで思ったのは、1960年から62、63年生まれの大学にお勤めで、一般誌に発表をする腕に覚えのある人の執筆の場を提供しているのだな、ということ。いよいよこのジェネレーションが文壇の主たる地位を確保し始めていて、早晩この人たちが次なるメインを張ることになる訳だから、雑誌社としてこのアカデミズム作家達との関係を継続的に保つことは将来への確実な投資になる。文芸誌の凋落が叫ばれて久しいが、新潮社がいつまでこの『考える人』という雑誌を続けられるか、随分生意気なようであるが、応援しながら見守りたいと思う。
山野楽器に置いてあって、買い求めたユッカ・エスコラの新譜、『WALKOVER』。フィンランドCAFEを主催するフィンランド政府観光局の方も、クラブジャズが好きな後輩の奴も、”ユッカ・エスコラはお勧めですよ”と前に言っていた。
果たして、ジャケットには「『21世紀のCTI』をテーマに、ジャズ、フュージョン… …多様な音楽をスタイリッシュに包み込んだ、21世紀型ジャズの定番!』とあって、リスペクトしているというフレディー・ハバードそっくりのフリューゲル・ホーン、トランペットを披露している。
ストリングスやフェンダーローズを有効に駆使して70年代テイストをうまく表現している。だが、CTI風といっても、だったらCTIを聴くよ、と言いたくなるのであって、聴いてからしばらくは耳を慣らすことが必要だ。そうすれば、この『CTIの新譜』を気に入ることになろう。
1978年生まれと若く、シベリウスアカデミーに進んだというから、さながら日本でいけば東京芸大卒のジャズトランペッターというところか。そういえば、京都大学工学部に入学し文学部を卒業した近藤等則氏は一時期、アウスレーゼのCMなんかに出演して、オシャレJAZZミュージシャンの道を歩んでいたが、最近では哲学者みたいな風貌で、『地球を吹く』とか随分難しいことをやっている。いらぬ(的を得ない)心配かもしれないが、エスコラ氏には真っ当な成長を遂げて欲しいと願っている。
なぜなら、『ジャズ』と『クラブジャズ』のあやふやな地平の上に立ってトランペットを吹いていくことが、これから先も続くのであろうから。そんなジャンル分けなど、吹き飛ばして欲しいと思うし、彼なら楽勝なのかもしれないけれど。
JUKKA ESKOLA/WALKOVER/TACS RECORD/2009
こちらは5月9日に中野サンプラザで開催されたイベント。

ウルトラゾーンのedition8。

ゼンハイザーのHD800。ともに新製品で、このイベントで初披露。聴こうとする参加者が行列をなしていた。

ベイヤーダイナミック。FROMドイツの3製品。

国内ではデノンが気を吐く。

PSオーディオのDAC(参考出品)。I2Sで接続可能。

個人的に前から気になっているコードのDAC、QBD76。性能とデザインが高い次元で融合しているのではないか。サイズもコンパクトで言うことなし。

イヤーパッド専門のメーカーも。

とにかくPCオーディオ、iPodオーディオが多かった。
昨日からは有楽町でハイエンドショウ2009が開幕している。
ウルトラゾーンのedition8。
ゼンハイザーのHD800。ともに新製品で、このイベントで初披露。聴こうとする参加者が行列をなしていた。
ベイヤーダイナミック。FROMドイツの3製品。
国内ではデノンが気を吐く。
PSオーディオのDAC(参考出品)。I2Sで接続可能。
個人的に前から気になっているコードのDAC、QBD76。性能とデザインが高い次元で融合しているのではないか。サイズもコンパクトで言うことなし。
イヤーパッド専門のメーカーも。
とにかくPCオーディオ、iPodオーディオが多かった。
昨日からは有楽町でハイエンドショウ2009が開幕している。
カテゴリー
■メールでのお問い合わせ、
ご連絡は、本Webページの最下部に設置しております
メールフォームからお願い
します。
-------------------------------
ご連絡は、本Webページの最下部に設置しております
メールフォームからお願い
します。
-------------------------------
プロフィール
HN:
なし
性別:
男性
自己紹介:
powerd by

powerd by
最新コメント
[08/15 yrndmifoaj]
[08/15 ekckyuobwa]
[08/14 clqoizbepn]
[07/19 azart47]
最新トラックバック
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
建築家の設計による狭小住宅からブログ発信中。
地下の書斎でオーディオを
愉しみ、音楽はなかでも特にJAZZ(ジャズ)を聴きます。
《お知らせ》直近の雑誌寄稿
→左記、カテゴリー《メディアへの寄稿》からご覧下さい
-------------------------------
///聴かずに死ねない!JAZZライブ盤。現代JAZZの、ある到達地点に違いないです///
●詳細はこちらから(amazon)
The Winners/Live at the Dolder Grand Hotel, Zurich/TCB/2001
-------------------------------
M's Bar/男の書斎には、クルマやテニスなどの話題が中心のもう一つの別室ブログを設けています。
地下の書斎でオーディオを
愉しみ、音楽はなかでも特にJAZZ(ジャズ)を聴きます。
《お知らせ》直近の雑誌寄稿
→左記、カテゴリー《メディアへの寄稿》からご覧下さい
-------------------------------
///聴かずに死ねない!JAZZライブ盤。現代JAZZの、ある到達地点に違いないです///
●詳細はこちらから(amazon)
The Winners/Live at the Dolder Grand Hotel, Zurich/TCB/2001
-------------------------------
M's Bar/男の書斎には、クルマやテニスなどの話題が中心のもう一つの別室ブログを設けています。
アーカイブ
リンク