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オーディオ、音楽、建築のほかメディア評、書評や日々の雑感など、ジャンルごった煮でお届けしています。
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■◆乱読日誌(書評)
[2024/04/27] [PR] (No.)
[2009/04/29] 『徴税権力 ~国税庁の研究~』 (No.194)
[2009/03/02] 『仮想儀礼』 (No.181)
[2009/01/31] 雑記210131 (No.175)
[2008/12/23] 【極私的】今年一番の本! (No.172)
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 『週刊文春』への寄稿を単行本化、今月さらに文庫新刊として書店に並んでいた本書『徴税権力』。第1章「金丸信摘発の舞台裏」とあって、「いまさら金丸信か…」とのっけから元朝日新聞記者による回顧録風に食傷になることなかれ。取材源を秘匿しながら、世に出す本として書ける範囲のことは書いている印象。当然弁護士などへの確認を経てのことだろう。時間が経過することによって書けることもあるということが分かる本でもある。第7章『マスコミとの攻防』では、実に想像に難くない新聞社内のドタバタが描かれていて、個人的には「だからアカンのよね、新聞社のway of thinkingは…」とツッコミを入れたくなる内容ではあるが、対戦の組み合わせとしてはなかなかの好カードであって、興味は尽きない。


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仮想儀礼・上

仮想儀礼

 まだ3月も始まったばかりであるが、早くも今年一番と推したくなるのが本書『仮想儀礼』。一気に上下巻を読了した。圧倒的なストーリー展開。
 
 『パラサイト・イブ』でヒットを飛ばし、現在では母校東北大学で特任教授を務める作家、瀬名秀明氏は、「ぐいぐいと引っ張る豪腕ぶりは70年代の劇画さえ連想させる」と絶賛している。仰せの通りで、特に上巻は圧巻。力技でねじ伏せられた(文体どうこうなんて、もはやどうでもいいことになってしまっていた)。私は電車で移動するちょっとした車中、そして歩きながらでも読みたくなって、実際にそうした!
 
 内容についてはあえて触れない。同氏の「暴走する現代を新興宗教で描く傑作」という言葉だけ引用しておく。
 
 ようやく「オウム真理教事件」、「アメリカ同時多発テロ」、『いま』というこの時代を総括する作品がエンターテイメント小説という手法で出てきたという印象。しかもそれが文句なく面白い。篠田節子はスティーブン・キングと並び評されるようなストーリーテラーとして名を残すことになるに違いない。いや、そもそも直木賞作家であった。

 最後にもう一度、それにしてもスゴイ。
 先日、UNICORNさんにご足労を頂いて、真空管アンプの基本的なことというか、雑誌や書籍にはあまり書いていないような、ベーシックで実用的なことをご教示頂いた。仕事でも何でもそーかもしれないけれど、未知の分野や未経験の事柄にチャレンジする時は、こと一から学ぶ必要があって、ジェントルなUさんにご教授を頂けたのは大変有難かった次第。

 私も含めて<球>初級者には気になる「そもそもの基本的な疑問点」みたいなものが結構あって、それを次号AUDIOBASIC誌にまとめる予定にしています。各メーカーへ取材をして、それに答えてもらう趣旨です。インタビューはこれからなので、まあどんな感じになるか分からないのですが、「なんでデバイスとして真空管を選ぶのか?」みたいなことも訊けたらいいなあ、と思っています。



 上述とは全然関係がないが、『自壊する帝国』(佐藤優、新潮社刊)を読み始めた。これが滅法面白い!佐藤優、この異能の作家、わたしは好きである。

自壊する帝国

世界の言語入門

 今年も残すところあと僅か。皆さんにとって、この一年で最も面白かった本は何でしょうか。

 忙しさにかまけていると、とかく書籍文庫を手にする機会が少なくなって反省することしきりですが、私がダントツとして挙げるのは『世界の言語入門』(黒田龍之助、講談社新書)。

 本書の魅力を簡単に言ってしまうと、一生耳にすることはないであろうマイナーな外国語を実に興味そそる言語として書き綴っているところで、とりわけ話者の少ない小言語に対する著者の格別の関心と愛情がチャーミングなのだ。

 弱小言語を慈しむ。まるでピグミーモンキーやミニチュアピンシャーといった小さき動物か、はたまた古伊万里の小皿でも愛でるように、稀少な異国の語を想う。そういえば我々は最近、マージナルなるものへの優しく温かい目線というものを忘れかけてやしないだろうか。だから著者のスタンスはとても新鮮に感じるし、啓示的とも受け取れる。

 ところで、我々が例えばオーディオ装置や宝飾類に拘り、そして所有して喜びとするのと同様に、黒田氏の場合はその対象が言語であるように思えてならない。つまり言語パラノイア、言語蒐集家だ。

 それもそのはずで、著者は大学で言語学を教える先生。専門のロシア語のほか、ウクライナ語、ベラルーシ語の教科書を執筆する専門家で、知悉するスラブ諸語以外の個別語への造詣もたいへん深い。

 本書は五十音順に90の言葉が見開き2ページでそれぞれ紹介されていて、文章が平易で読み易いのがいい。来年の『講談社エッセイ大賞』はこの本に違いないと個人的には予想している。最後に本書に取り上げられた言語のうちの一部を記載しておこう。

 西アフリカはセネガルやモーリタニアで話される<<ウォロフ語>>、南アフリカで喉の奥で空気を止めてから“ポコン”と出す放出音を有する<<コサ語>>、能格という謎の格を持つ小言語<<バスク語>>、世界一難しいと言われ、いま国家存続の危機に立つ<<アイスランド語>>、旧バルト三国の<<エストニア語>>、<<ラトヴィア語>>、<<リトアニア語>>などなど…。

 つくづくマニアックだなー。
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