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オーディオ、音楽、建築のほかメディア評、書評や日々の雑感など、ジャンルごった煮でお届けしています。
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■◆日々雑感
[2024/04/23] [PR] (No.)
[2007/07/23] □福岡珍道中<1> 7月20日(金)曇り (No.52)
[2007/06/01] 祖父の記憶 (No.18)
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 仕事で福岡に行くことになった。羽田15:20発、SKY017便に搭乗した。

 俺は不安だった。俺の耳はヤワだからだ。高度の上下にやられやすい。離陸するとすぐに、耳の鼓膜あたりが疼いて来る。やむなく耳栓を用意する。2時間くらいで福岡に近づいて、017便は下降を始めた。今度は”ばりばり”と音を立てて、耳がやられ出した。とてもつらい。我慢ならない痛さだ。

 俺は今回の旅が、波乱に満ちるような気配を感じた。

 着陸すると、アナウンスの声がほとんど聞こえない。飛行機に乗るといつもこうなのだ。欠伸をしても抜けない。
「こりゃ、まずいな」
 俺は入港のゲートをくぐり終えて、空港内にクリニックを見つけ、救いを求めた。
「あー、腫れているね。鼓膜のところが真っ赤だよ。」
「飛行機の昇り降りが苦手なのです。」
「さっき、熱を計ったら37度あったみたいだけど、喉も見せて。あー、腫れているね。風邪だわ。あれ、自覚ないの?」
「えっ、風邪をひいていますか?いつも鼻水はよく出るのですが、埃やハウスダストのアレルギーがあるので・・・」
「まあ、いずれにしても、耳も風邪も薬を出すから全部飲んで下さい」

 俺は、このお医者さんの物言いが何となく気に入らなかった。

「煙草が良くないのは分かっていますが、普段あまり薬は飲まないようにしているのですが・・・」
「君、アレルギー持ちで煙草を吸って、これから抵抗力は落ちる一方なんだから、まあこれからは薬のお世話になるのだなあ。薬は飲まない、なんて言っていられなくなるよ」

 何だか親切にアドバイスをされているというよりも、脅されているような気がして、俺は内心むかっと来ていたが、そこは俺も大人だ。相手はお医者様である。素直に従った。
 しかし、診察を受ける前にまず最初、”仕事で飛行機にはよく乗るのか”と聞かれた後に、”福岡は初めてか”などと質問を受けたのだが、それとなくこの患者がもう一度来るか否かを探っていた向きもあった。考え過ぎだろうか。結局、たっぷりと5種類の飲み薬をもらった。

 俺はやむなく復路の福岡発東京行きSKY024便をキャンセルし、新幹線へと変更することにした。
 俺はスカイマークのカウンターの女性に、耳の不具合と空港内の医師に診てもらった旨を伝えた。

「診断書がないと全額返金はできないですよぉー。診断書はお持ちですかぁー」

 持っている訳がない。医者にかかって診断書を一々もらうことはしないでしょう、普通。空港内なのだから、医院へ電話をかけて確認して欲しいと伝えた。俺は別に嘘をついてキャンセルをしたいのではないのだ。
「お医者さんがもう6時を過ぎて閉まっていますね。電話に誰もお出になりません」
「仕方がないですね。では、薬の処方箋と領収書で診断書の代わりとはなりませんか」
「いやー、基本的には診断書がないと、キャンセル料は頂くことになってしまいます」

 俺は、急性航空中耳炎なのだ!頼むよ、お姉ちゃん。

「お手数をおかけして大変申し訳ありませんが、上司の方へ掛け合ってもらえませんか。場合によっては、直接お話をさせて頂いても結構ですよ」

 三千数百円のキャンセル料が惜しいのもあるが、それ以上に事務的な対応に閉口していたのである。やんわりとお願いをすると、笑顔で
「今回は特別に全額お返しさせて頂きます」

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 ふー、何とかなったが、次は新幹線のチケットを取らねばならない。急いで博多駅に向かった。どうでもいい話であるが、地下鉄に乗って駅名の看板を良く見ると、駅毎にあしらってあるマークが違う。何だか遊び心というか、気持ちの余裕みたいなものを感じる。
 翌日の18:54博多発23:45東京着、のぞみ52号の席が取れた。N700系のお陰で博多から東京までは約5時間ほどだ。空港での待ち時間や空港までの移動時間などを考えると、飛行機に決定的なアドバンテージがあるという感じでもない。


>>第2話「福岡珍道中<2>」に続く。

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HORACE SILVER/SONG FOR MY FATHER

 かつて煙草を呑むということは、大人の嗜みでありました。祖父の家に行くと、食卓の大きな平机の真ん中に透明なクリスタルの灰皿が置いてあって、美味そうに煙を燻らせていた姿を思い出します。「おじいちゃんの家」といえば、紫煙が立ちのぼり、そこかしこの置物に染み込んだ煙草の臭いが小さな頃は思い起こされました。いま思えばとても体に悪いことでだったのでしょうが、副流煙をかき集めて大人が煙草を吸う真似事をしたものです。祖父のマイルドセブンが切れればすぐ近くの自動販売機に買いに行くのが僕の役目でした。たくさんある銘柄から間違えることなく持って帰ると、褒められて嬉しかった記憶があります。

 かつて子供と大人を分ける分水嶺の一つが煙草でした。夏になると、花麦わらのストローハット(カンカン帽)を被って、着流しの内袖に煙草を忍ばせて上野公園まで散歩に連れて行ってもらいました。腕に巻かれた金時計とか、ヘアトニックなのかオーデコロンなのかは分からなかったけれど、微かな芳香を携えた祖父に「大人」を感じたなあ。

 いまでは煙草は単なる悪者です。隅っこに追いやられ、肩を窄めて隠れるようにして煙を吸う毎日。禁煙ファッショである。確かに近日の健康科学によって喫煙行為は健康を損ねる可能性の高い嗜好品であることは自明のものとなり、他人へ迷惑をかけないよう愛煙家は気を配らなくてはなりません。でも、かつて煙草は文化であり、大人の嗜みでありました。何も急いて追放するばかりでなくてもいいのに、と思うのですが。



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