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オーディオ、音楽、建築のほかメディア評、書評や日々の雑感など、ジャンルごった煮でお届けしています。
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■◎オーディオのこと
[2024/05/04] [PR] (No.)
[2008/02/02] エッセイその2 (No.111)
[2007/12/23] ●[31]4311研究-コニシス訪問- (No.103)
[2007/12/04] ●[29]クレルとJBL4311B (No.97)
[2007/11/29] ●[27]温故知新<その2> (No.95)
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 『analog』誌の巻頭カラーにコブクロの黒田氏(我が家では大きい方の人と呼ばれている。そう呼ぶ人も多いかもしれない)が登場していて、アナログの魅力を語っている。タモリ倶楽部では高級オーディオの回に出演したそうだし、僕は実にいいことだと思う。

 レコード大賞を獲ってトップアーティストの仲間入りをしたのだから、今後のオーディオシーンを牽引するにふさわしい人物だろう。『Lapita』誌のアナログ特集には松任谷正隆氏が出ていた。

 こういう歌い手とか音楽プロデューサーがオーディオを語って、オーディオがマニアによる偏狭的な趣味でないことを喧伝することは非常によいことだと思うし、『analog』誌の戦略は非常に上手だ。コブクロファンがこれで少しでもオーディオファンになれば、雑誌の購読層が広がるのだから。

 さて、その『analog』誌をめくっていたら、三宮麻由子さんが誌面にエッセイを寄せておられた。

 僕は拝顔して懐かしい思いになった。今から4年か5年前のことだったか、ある大手出版社の継続事業で、全国の高校を作家の先生が講演して回るという仕事でご一緒した時のことを思い出した。東京のご自宅へお迎えに上がり、電車で茨城へ向かい、その足で一校目でご講演いただき、一泊して翌日に別の高校でお話し頂いて、帰京した。その旅の道中をふと思い出したのだ。
 
 よく気がつく出版社の女性編集者と広告代理店の女性の二名がいたので、身の回りのお世話は心配がなかったのだが、スケジュールをスムーズにこなしていくために、やはり三宮先生の目が不自由であることは、事前の段では少し不安であった。
 
 しかし、体の不自由というハンデをもろともせず、著作活動を進められ、同時通訳もこなされる頭脳とバイタリティーにすっかり敬服した。逆に僕のスケジュール管理能力の方がよっぽど心配だった。三宮さんの半年前に、新井満さん(『千の風になって』がヒットする前のことです・・・)と奈良へ同じ仕事で帯同させて頂いていた。だから私は移動のスケジューリングやお食事の席の段取り、学校との対応など少しは慣れていたつもりであったが、至らぬ点も多々あったように思う。だが、三宮先生は文句一つ言わず、笑顔でいらした(だから僕は三宮さんに菩薩の印象をもっている)。

 誌面と同様に、講演でも鳥の鳴き声をよくよく観察すると違いを聞き分けられるようになるとお話しされた。その鳴き声を実演されて高校生諸君も驚いていた。目で見えなくとも耳で見て感じるという<感性の大切さ>を教えていらした気もする。もし今度お会いする機会があって、僕の声を聴いて覚えていらっしゃったら、また感服するに違いない。

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 昨日は小雨の降る中、某オーディオ雑誌の編集長をされているKさんと学芸大学にあるコニシス研究所を訪問した。その雑誌の前回号で、小西さんのインタビュー記事が掲載されたこともあって、お伺いする運びとなった。

 まずは、地下のコニシススタジオでしばし歓談。

 今のオーディオシーンは、団塊世代の方々が戻って来つつあって元気を取り戻している、特に雑誌は調子がいいとのことだ(羨ましい限りで、新聞はいま絶不調で風邪をこじらせた老体はもう治る見込みがない、という話が業界で再び蔓延しています)。誌面に対する読者のレスポンスも上々らしい。しかしメーカーや流通は、まだ市場縮小の流れに喘いでいる。つまりオーディオに対する“関心”は戻って来たが、製品の“消費”やマーケットの“広がり”までは至っていないということだ。

 そんな話をしながら、そこら中に無造作に置かれているプロ用の業務用機器について話題が移った。スチューダーのたくさんのメーターがついた機械を見て、オールドマークレビンソンに似ていると申し上げると、何とその機械の中身、つまりアンプ部分はレビンソンが作っていたのだという。スイスは時計産業で培った精密技術がゆえに、例えばボリュームの削り出しなどのメカの精度は素晴らしく高い。しかし、アンプの回路はあまり得意でなかったようで、レビンソンが請け負っていたのだ。

 従って、レビンソンはプロシューマ-、コンシューマー両方を手掛けていたということか。いやむしろ、小西さんによれば、傑作といわれる『LNP-2L』もそもそもは、レコーディングの場面で録音ダビングなどに使えるような業務用の設計になっており、民生向けの製品ではなかったという。それを民生として使い出したのは日本のオーディオファイルであったという訳だ。

 目から鱗の話を聞かせてもらって、僕は今回の訪問で一番の目的を果たすよう、そぞろ動き始めた。スタジオに設置されたJBL4311の音を聴くことだ。もともとは録音スタジオで使われることを想定して作られたスピーカーなのだから。果たしてプロのレコーディングスタジオで4311はどんな音で鳴っているのか。これをどうしても確認したかった。自分の4311と何が違うか、どこが同じなのか。

 何でも小西さんがスタジオ事業をスタートさせた25、26歳の頃に、新宿のオーディオユニオンで購入したという。右も左も分からない時分に、スタジオをやるならスタジオモニターが必要だ、ということで手に入れたらしい。今ではプロ向けの機材を扱う様々な専門業者とのパイプがあるので、まさかオーディオユニオンで機材を買うことはないとのことだが、そういう昔のスピーカーがいまだに現役で活躍しているというのは、とても微笑ましい。

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 コニシスのスタジオに設えられた4311は年季が入っていて、仕事のできる職人みたいな肌艶をしていた。そしてまた、出て来た音にはガッツがあって、ずんずんと音が前に出てJBLらしさ満載という感じで、我が家と同じ音の傾向で安心した。同じスピーカーだから当たり前と言うなかれ。もしかしたらスタジオの4311はクラシックもよく鳴らしてしまうのではないかと思っていたのだ。しかし、シベリウスを掛けたら、これは僕の4311と同じように上手くは鳴らなかったので、安心したのだ。つまりはロックやジャズに向いたスピーカーなのだ。いずれにしても、素人というのは何でも確認しないと心が落ち着かないから大変だ。

 スピーカーは壁面に埋め込まれ、わずかに前傾していた。音を大きくすると、壁ごと鳴らす豪快さで、壁もフロントバッフル面と化す。「やっぱりスタジオモニターというものはこうでなくっちゃ」と思う。この様子を見て、小宅のコンクリートの壁をぶち抜く決意を固めたことは言うまでもない。

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 さて、夜飯を食いに行くことになった。小西さんは普段から明るい性格だが、アルコールが入ると更に明るく饒舌になる。僕も負けじと、“イイチコ”でどくどくと燃料を注入した。席が終わる頃にはだいぶん酔っ払っていた。一回り上の先輩諸兄に失礼がなかったか気になるところではあるが、まああったとしても仕方あるまい。特に、理知的で紳士な印象のK編集長に呆れられてやしないか、非常に危惧するところなのであるが、しかしそういったことが心配なら酒は飲まない方がいい。いつまでもそんなことは言っていられないが、酒は呑まれてナンボである。

 今日は頭が痛い、二日酔いのようだ。

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 オーディオユニオンの1階に『禁断の惑星』からやって来たクレル(KRELL)のインテグレーテッドアンプKAV-400xiが陳列されていたので、同じく販売中であった4311Bにつないで鳴らしてもらった。
 
 栄華を誇ったモニタースピーカーといえど、30年前のいわばオンボロ品である。かたや、わずか数年前の技術の粋を凝らした現代先端アンプが4311をドライブすると、果たしてどんな音になるのか興味津々であった次第。

 何枚か試聴のためにCDを持参し、まずはミルト・ジャクソンの『サンフラワー』を聴く。別段、オーディオテスト用として重宝するということではなく、単に好きだから幾度も聴いて各々の楽器がどんなメロディーを奏でているか分かっているという音盤だから、マイチェックディスクという訳だ。
 
 中でも「ピープル・メイク・ザ・ワールド・ゴー・アラウンド」は、ジャズが持つ夜騒的な妖しい雰囲気をどのくらい表現できるか判断するのに好都合である。

 しばし聴き進めると、がーん、品行方正、大人のサウンドであった・・・。
 
 書斎で書き物でもしながら、背後に流してもいいようなノーブルな音!紛れもなく「いい音」なのであろうが、当方には大人び過ぎていた。畢竟、こちらは音が元気よく前に飛び出して来て欲しいのだ。言い方が正しいかは分からないが、もっと「安っぽく」て構わない。

 すると、いま4311を我が家で鳴らす47アンプ(シガラキ)というのは、なかなかの優れものであることに改めて気がつく。決して47アンプが安っぽい音を出すなどと言っているのではない(そんなことを申し上げたら吉祥寺から石が飛んで来るに違いない)。

 クレルのアンプは朗々と4311を鳴らし、47アンプは華美な装飾をせずにストレートに4311を操っているということだ。クレルの音の厚みとか低音のゆったりした具合は、4311ではなく、より鳴らしづらい難しいスピーカーにこそ合っているのだろう、何もJBLの4311と組み合わせることもないか、というのが正直な感想であった。
 
 そして思う、47アンプは清廉を志向しているのではないかと。清廉とは、心が清らかで私欲のない様のことである。小川のせせらぎのように俊敏で澄んだ音は、虚飾を拝して清らかさを目指したから出るのに違いない。身の丈にあった価格で、スペースユーティリティーに秀でて洒落たデザインの小型アンプというのも、他を探そうとすると以外に見つからないものである。

* * *

 その足で神保町のBIGBOYへ行くと、今日はジミー・スミスDAYであった。「ジミー・アンド・ウェス」や「スモールズ・パラダイスのジミー・スミス」がかかり、大音量に思わず仰け反った。心地のいい音圧を全身に浴びて、さて再び4311に巡り合わせるアンプを、あーでもない、こーでもないとマスターと話しているうちに、日も暮れて来た。
 と言っても、ただ単に古いものをこそ崇拝するというのも芸がないとも思う。これまでに面々と開発され、継承されて来たオーディオの製品や歴史に敬意を払いたいというのが、僕の心持ちだ。

 我々のいる現在という立ち位置は決して唐突に現れたのではない。今までに多くの人が夢を賭したり頭を悩ませた来た、その歴史があってはじめて「今のオーディオシーン」が現れて来ると思うのだ。盲目的に現在の製品ばかりに目を奪われていると、なぜそのようなプロダクトが生まれて来たのかということを捉えにくい。

 そしてまた、昔のオーディオ装置に触れると、失くしてしまったこと、進化を遂げて新たに獲得したことの両方を理解できるのではと考えている。

 明日という訳にはゆかないだろうが、JBLの4311に現代の技術の粋を集めたようなアンプやプレーヤーをあてがってやりたいと夢想している。例えば同じくメイド・イン・アメリカの大出力アンプに、4311がびっくりして身悶えする姿を想像するのは実に愉しいものだ。
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